神様修行はじめます! 其の三


・・・・・


あたしは唇を固く結び、無言で頷いた。


うん、そうだよね。門川君だって本心では権田原に行きたいはず。


あたしだけでも行きたいとこだけど、あたしには彼の護衛役としての務めが・・・


― キイィィ・・・ン ―


突然、鼓膜を外に引っ張り上げられるような嫌な音が響いた。


思わず顔を顰めて両耳を手の平で塞ぐ。


すると遥か頭上の空間に、大きな墨絵のようなものが浮かび上がった。


絵? いや、文字? 図面・・・じゃないよね? なにあれ?


透明な筆がサラサラと書き流すかのように、次々と複雑な図が頭上高くに浮かび上がる。


門川君が驚いたような声を上げた。


「絹糸、あれは・・・まさか!?」


「うむ! 転移の宝珠じゃ! どこの誰があんな貴重な宝珠を使って・・・!」


― パ―――ンッ!! ―


みなまで言い終わらないうちに、複雑な図が光と音と煙と共に一斉に弾け散った。


おわ!? 花火か!? たまや!?


口を開いて唖然としていると、図が消えた場所に何かがまた突然現れた。


今度はなによ? あれは・・・・・


・・・・・人間!?


なに!? 花火じゃなくて手品だったのこれ!?


てか、あの人間って良く見たら・・・


「・・・凍雨君――っ!!?」

「うわあああぁぁぁっ!!」


空間に現れた人間が凍雨君だと認識した瞬間、悲鳴と共に彼の体が落下した!


きゃああ! 落ちる! 落ち・・・!


ブワッと気が巻き上がって絹糸が変化すると同時に飛び出した。


落ちてきた彼の体を背中でナイスキャッチ。

でかした絹糸ー!