雛型の夫にとってそれは大きな衝撃じゃった。
噂の真相を確かめずにはおられなかった。
端境に見つかるのを覚悟で門川の屋敷を訪れ、事情を問いただした。
『子が・・・妻の腹に子がいたと聞きました! 触媒に使われたと! それは本当なのですか!?』
『確かに事実である』
『な・・・!?』
『体の中に命がふたつ存在しては術を施行できぬ。当然の処置である』
あっさりと返されたその返答に夫は驚愕し、打ちのめされた。
次々と襲いかかる身内の死。そのうえ、まだ見ぬ我が子までも・・・。
悲劇な現実を前にして、息も絶え絶えに絶叫する。
『なぜ生まれるまで待ってくださらなかったのですか!?』
『待つ事などできぬ。これは大罪である。償いは迅速に行われねばならぬ』
『惨い! 惨すぎる! いくら罪人とはいえ無事に子を生む権利くらい・・・!』
『他者の生きる権利を奪い尽くした大罪人に、権利などは何ひとつ与えられぬ』
夫は言葉を詰まらせた。
それを言われては・・・反論できぬ。
確かに大勢の子の命を奪っておいて、自分は無事に子を生みたいなど虫が良い話。
だが・・・
『だが、子には何の罪も無い!』
『・・・・・』
『責められるいわれは無い! 妻の両親も妹もです! なのに・・・!』
『罪人の家族とは、犯してもいない罪を背負わされる。それも当然の事である』
『!!』
『その不条理さこそが、罪という恐ろしさよ。犯してはならぬものを犯した、愚かさの代償である』
『そん・・・な・・・』
『雛型の親も、兄弟も、まだ生まれぬ子も、命をもって大罪を償った。償いを求める者がいる以上は、それはしかるべくであろう』
『い・・・い・・・』
夫はワナワナと震えた。
頬の筋肉が引き攣り、声がうまく出てこない。
やっとのことで振り絞るような悲痛な声が出た。
『命までも、差し出さなければならないのですかっ!?』
噂の真相を確かめずにはおられなかった。
端境に見つかるのを覚悟で門川の屋敷を訪れ、事情を問いただした。
『子が・・・妻の腹に子がいたと聞きました! 触媒に使われたと! それは本当なのですか!?』
『確かに事実である』
『な・・・!?』
『体の中に命がふたつ存在しては術を施行できぬ。当然の処置である』
あっさりと返されたその返答に夫は驚愕し、打ちのめされた。
次々と襲いかかる身内の死。そのうえ、まだ見ぬ我が子までも・・・。
悲劇な現実を前にして、息も絶え絶えに絶叫する。
『なぜ生まれるまで待ってくださらなかったのですか!?』
『待つ事などできぬ。これは大罪である。償いは迅速に行われねばならぬ』
『惨い! 惨すぎる! いくら罪人とはいえ無事に子を生む権利くらい・・・!』
『他者の生きる権利を奪い尽くした大罪人に、権利などは何ひとつ与えられぬ』
夫は言葉を詰まらせた。
それを言われては・・・反論できぬ。
確かに大勢の子の命を奪っておいて、自分は無事に子を生みたいなど虫が良い話。
だが・・・
『だが、子には何の罪も無い!』
『・・・・・』
『責められるいわれは無い! 妻の両親も妹もです! なのに・・・!』
『罪人の家族とは、犯してもいない罪を背負わされる。それも当然の事である』
『!!』
『その不条理さこそが、罪という恐ろしさよ。犯してはならぬものを犯した、愚かさの代償である』
『そん・・・な・・・』
『雛型の親も、兄弟も、まだ生まれぬ子も、命をもって大罪を償った。償いを求める者がいる以上は、それはしかるべくであろう』
『い・・・い・・・』
夫はワナワナと震えた。
頬の筋肉が引き攣り、声がうまく出てこない。
やっとのことで振り絞るような悲痛な声が出た。
『命までも、差し出さなければならないのですかっ!?』


