「糾弾、というものはのぉ、心を麻薬のように高揚させて麻痺させるのじゃ」
他者の罪を糾弾する者は・・・自分こそを正義と信じておる。
絶対的な罪や悪に対し、それを責め立てる事に対して誰が躊躇などするものか。
ましてや自分達は被害者。
加害者を責める事ができる正当なる権利者じゃ。
しかし、こういった傷はいくら相手を責めたところで癒されぬ。
当然じゃ。責めても失ったものは還って来ぬのだから。
そこには癒しも、許しも、何も無い。
責める行為によってただ憎悪と興奮だけがどんどん増幅する。
「じゃから・・・歯止めが利かなくなった」
雛型の家族への集中砲火は日を追って激しくなる。
毎日、屋敷に大勢の人間が罵倒しながら押しかけて来る。
扉をしっかりと閉じて自衛したが、人々の罵りの声が一日中止む事は無かった。
屋敷の中に汚物が投げ込まれ、悪臭が漂う。
扉は今にも破壊されそうに乱打され、恐ろしい言葉が終日繰り返され。
一歩も外には出られず、食料も底を付く。
日の光さえ拝めぬ暗闇の部屋で、肩寄せあって怯える日々。
そしてついに屋敷の壁が破壊され、悪鬼のような表情の人々が中に乗り込んできた。
父親が、妻や娘を守ろうとして押し問答になった。
『やめてくれ! 妻や娘にはなんの罪も無い!』
『罪が無いだと!? よくもそんな事を大きな顔で言えるものだ!』
『そうだ! やはりこの親のせいであんな大罪人が生まれたんだ!』
『責めは全て私が受ける! だからどうか妻や娘に酷い仕打ちはしないでくれ!』
『酷い仕打ち!?』
『俺の妻は、酷い仕打ちどころか異形のモノに喰われたんだぞ!』
『私の娘も殺されたわ! この家の大罪人のせいで!』
『なのに、お前等はのうのうと生きているなんて!』
『許せない! 許せない! 許せない!!!』
憎しみが興奮を呼び、興奮が暴力を生んだ。
父親は・・・一切の抵抗をしなかった。できなかった。
殴られ続け、蹴られ続け、延々と責め苦を一身に受けてるだけ受けて・・・
命を、落とした。
他者の罪を糾弾する者は・・・自分こそを正義と信じておる。
絶対的な罪や悪に対し、それを責め立てる事に対して誰が躊躇などするものか。
ましてや自分達は被害者。
加害者を責める事ができる正当なる権利者じゃ。
しかし、こういった傷はいくら相手を責めたところで癒されぬ。
当然じゃ。責めても失ったものは還って来ぬのだから。
そこには癒しも、許しも、何も無い。
責める行為によってただ憎悪と興奮だけがどんどん増幅する。
「じゃから・・・歯止めが利かなくなった」
雛型の家族への集中砲火は日を追って激しくなる。
毎日、屋敷に大勢の人間が罵倒しながら押しかけて来る。
扉をしっかりと閉じて自衛したが、人々の罵りの声が一日中止む事は無かった。
屋敷の中に汚物が投げ込まれ、悪臭が漂う。
扉は今にも破壊されそうに乱打され、恐ろしい言葉が終日繰り返され。
一歩も外には出られず、食料も底を付く。
日の光さえ拝めぬ暗闇の部屋で、肩寄せあって怯える日々。
そしてついに屋敷の壁が破壊され、悪鬼のような表情の人々が中に乗り込んできた。
父親が、妻や娘を守ろうとして押し問答になった。
『やめてくれ! 妻や娘にはなんの罪も無い!』
『罪が無いだと!? よくもそんな事を大きな顔で言えるものだ!』
『そうだ! やはりこの親のせいであんな大罪人が生まれたんだ!』
『責めは全て私が受ける! だからどうか妻や娘に酷い仕打ちはしないでくれ!』
『酷い仕打ち!?』
『俺の妻は、酷い仕打ちどころか異形のモノに喰われたんだぞ!』
『私の娘も殺されたわ! この家の大罪人のせいで!』
『なのに、お前等はのうのうと生きているなんて!』
『許せない! 許せない! 許せない!!!』
憎しみが興奮を呼び、興奮が暴力を生んだ。
父親は・・・一切の抵抗をしなかった。できなかった。
殴られ続け、蹴られ続け、延々と責め苦を一身に受けてるだけ受けて・・・
命を、落とした。


