神様修行はじめます! 其の三

「で、でも、人間を術具に変えてしまうなんて・・・」


そんなの完全に人権侵害じゃないの?


裁きっていうよりも、それじゃまるで制裁だよ。


「むろん喜んで術具になろうなどという酔狂な者はおらぬ。だが犯した罪は償わねばならぬ」



因果応報。これほど公正な裁きは無い。


雛型となって座り女を生み出し、二度と誰にも破られぬ結界を築く。


いずれ時が経てば、皆の心に平穏が訪れる日も来よう。


その時こそお前の犯した罪は償われる。


償いさえ終われば、当然、元の人間に戻れる。


それが「罪を償い、赦される」ということだ。


いつの日にか赦されようとも。きっと必ず。



門川にそう諭され、女と夫は泣く泣く納得した。


償わねば端境一族も、自分達の親兄弟も、この世界で生きてはいけない。


父も母も妹も、親族も、夫も、自分が償い終えるまで庇護してくれると門川は約束した。


ならば・・・この償いを受けよう。


罪が赦され、晴れて家族揃って暮らせる日が来るまで。


愛する夫と・・・人間として生きられる日が訪れるまで。


いずれ・・・きっと必ず。


その日を信じ、女は術を施され座り女の雛型となった。


大罪の裁きは粛々と下され、一件はなんとか落着した。


雛型が罪を償い終えるまで、時間は皆の心を静かに癒し・・・・・・


・・・・・・・・・・・・


そうは、ならなかった。


・・・門川は・・・


「最初から約束など、ひとつも守るつもりは無かったのよ」