「それを言えるか? 悲劇に見舞われた者に向かって」
あたしは言葉に詰まった。
雛形は、世界に惨劇が起こる事を承知の上で夫を選んだ。
生き残った者達にとって、それは・・・
『私の夫に生きて欲しいので、代わりにあなたの夫や子どもに死んでもらいましたから』
と言われたのと同じだ。
とてもじゃないけど、それは・・・。
「悲劇は悲劇を呼び、連鎖する。それが人の世の業じゃ」
「・・・・・」
「そんな中で、衆人の舵をとったのが門川じゃ」
大惨事から世界を、自分達を救ってくれた英雄。
門川がいなければ世界は全滅していた。
だから端境一族や女を裁く権利の全ては門川にある。
誰もがそう納得していた。
端境側に反論できるはずもない。
首を洗って門川からの処遇を待つより他になかった。
「その時に門川の出した決断が、『座り女』じゃよ」
生身の人間が結界を張っていたから、こんな惨劇が起きた。
だからその役目をこれからは人間ではなく、術具にさせれば良い。
結界術に秀でた女に術を施し、座り女の雛型とする。
そして次々と分身の座り女を生み出させ、この世界を守らせるのだ。
さすれば二度とこのような悲劇が起きる事もない。
「とどのつまり、端境から結界という特権を奪ったのじゃよ」
それさえ奪えば、二度と端境一族は表舞台に出てくることはない。
そして端境一族を、他の一族からの暴力から保護するという名目で、自分達の領地に囲い込んだ。
力も衰え、自分達に絶対に頭の上がらぬ端境を、完全に召抱えてしまった。
門川一族のひとり勝ちであった。
あたしは言葉に詰まった。
雛形は、世界に惨劇が起こる事を承知の上で夫を選んだ。
生き残った者達にとって、それは・・・
『私の夫に生きて欲しいので、代わりにあなたの夫や子どもに死んでもらいましたから』
と言われたのと同じだ。
とてもじゃないけど、それは・・・。
「悲劇は悲劇を呼び、連鎖する。それが人の世の業じゃ」
「・・・・・」
「そんな中で、衆人の舵をとったのが門川じゃ」
大惨事から世界を、自分達を救ってくれた英雄。
門川がいなければ世界は全滅していた。
だから端境一族や女を裁く権利の全ては門川にある。
誰もがそう納得していた。
端境側に反論できるはずもない。
首を洗って門川からの処遇を待つより他になかった。
「その時に門川の出した決断が、『座り女』じゃよ」
生身の人間が結界を張っていたから、こんな惨劇が起きた。
だからその役目をこれからは人間ではなく、術具にさせれば良い。
結界術に秀でた女に術を施し、座り女の雛型とする。
そして次々と分身の座り女を生み出させ、この世界を守らせるのだ。
さすれば二度とこのような悲劇が起きる事もない。
「とどのつまり、端境から結界という特権を奪ったのじゃよ」
それさえ奪えば、二度と端境一族は表舞台に出てくることはない。
そして端境一族を、他の一族からの暴力から保護するという名目で、自分達の領地に囲い込んだ。
力も衰え、自分達に絶対に頭の上がらぬ端境を、完全に召抱えてしまった。
門川一族のひとり勝ちであった。


