当時は今ほど神の一族全体の統制もとれていなかった。
それぞれの一族が個別で必死に戦ったが、なにせ不意打ち。
混乱は混乱を呼び、悲惨を極めた。
しかも敵の数は膨大で、体勢を立て直す間も無く次から次へと増え続ける。
皆、死んでいった。
異形のモノと戦い、殺された者。
逃げる事のかなわなかった女や幼い子ども。
敵の攻撃から逃げおおせても、外は地獄のような猛吹雪。
極限の寒さに飲み込まれバタバタと命を落としていった。
『やめて――! その子を殺さないで!』
『おかーさーん! おとーさーん! いやあぁぁ!』
『ぎゃああぁぁ―――っ!!』
血飛沫、骨の砕ける音。肉を咀嚼する音。
我が子を目の前で引き裂かれ、泣き叫ぶ親の悲鳴。
親を目の前で喰われ、救いを求める幼子の絶叫。
自らの命が尽きる瞬間の断末魔の声。
これぞまさに阿鼻叫喚の地獄絵図。
瞬く間に世界に死が溢れかえった。
我も我が子を守るために懸命に戦いながらも、もはや観念していた。
この世界は、もう終焉を迎える。人は終わってしまうのだ。
そう確信した。
「それが・・・千年前の大罪・・・」
「うむ。女がひとりの男を選んだ罪で、代わりに世界が地獄と化した」
「それは、それは、でも・・・」
あたしは何も言えずに黙り込む。
とても言葉なんか出てこない。どんな言葉も・・・無意味だ。
愛する夫が目の前で死んでいくのを助けたかった雛型。
ある日突然、理由も分からず皆殺しにされていく世界の人々。
もう、これじゃ本当にどこにも救いようが・・・無い。
それぞれの一族が個別で必死に戦ったが、なにせ不意打ち。
混乱は混乱を呼び、悲惨を極めた。
しかも敵の数は膨大で、体勢を立て直す間も無く次から次へと増え続ける。
皆、死んでいった。
異形のモノと戦い、殺された者。
逃げる事のかなわなかった女や幼い子ども。
敵の攻撃から逃げおおせても、外は地獄のような猛吹雪。
極限の寒さに飲み込まれバタバタと命を落としていった。
『やめて――! その子を殺さないで!』
『おかーさーん! おとーさーん! いやあぁぁ!』
『ぎゃああぁぁ―――っ!!』
血飛沫、骨の砕ける音。肉を咀嚼する音。
我が子を目の前で引き裂かれ、泣き叫ぶ親の悲鳴。
親を目の前で喰われ、救いを求める幼子の絶叫。
自らの命が尽きる瞬間の断末魔の声。
これぞまさに阿鼻叫喚の地獄絵図。
瞬く間に世界に死が溢れかえった。
我も我が子を守るために懸命に戦いながらも、もはや観念していた。
この世界は、もう終焉を迎える。人は終わってしまうのだ。
そう確信した。
「それが・・・千年前の大罪・・・」
「うむ。女がひとりの男を選んだ罪で、代わりに世界が地獄と化した」
「それは、それは、でも・・・」
あたしは何も言えずに黙り込む。
とても言葉なんか出てこない。どんな言葉も・・・無意味だ。
愛する夫が目の前で死んでいくのを助けたかった雛型。
ある日突然、理由も分からず皆殺しにされていく世界の人々。
もう、これじゃ本当にどこにも救いようが・・・無い。


