女は自分の残り少ない力の全てを使って、吹雪から身を守る結界を張った。
夫の全身を結界が包み込む。
体から生気が抜け落ちていく気配がやっと止まった。
『良かった! これで助かる! あぁ、あなた!!』
だが・・・・・・
すぐに異変は生じた。
― ピリ・・・ ―
安定していた空間に細いヒビのような亀裂が走るのを感じた。
女の胸にビクリと押し寄せる恐れ。
ヒビが大きくなるにつれて、恐れも巨大に膨れ上がった。
だが女は頭を振って恐怖を無理に押しやり、夫のための結界を張り続けた。
愛するがゆえに。
「しめ縄の一箇所がブツリと切れるのと同じ原理じゃ」
他の部分に問題は無くとも、ひとつ所が破損すればその全てに意味など無くなる。
知っていながら女が、切った。
ピリリ、ビリリと結界の裂け目が大きく裂けていく。
その部分に負荷がかかり、向こう側からのおぞましいモノの気配が漏れ出した。
裂け目に気付いた異形のモノ達が、目の色を変えて大挙して押し寄せている。
舌なめずりの音が今にも聞こえてきそうだった。
女は両耳を塞ぎ、両目を瞑り、ただ夫の無事だけを祈り続けた。
そして・・・・・・
ついに耐え切れず結界は崩壊した。
爆発のような音が轟き、不気味な鋭い閃光が四方に飛び散り世界を照らす。
惨劇の始まりの合図。
『あぁ・・・・・!!!』
咆哮と共に、世界中に異形のモノが大挙して雪崩れ込んできた。
「まさに不意打ちじゃ。思いもかけぬ総攻撃。しかも天候も最悪じゃった」
結界が張られているのだから、異形のモノなど入ってくるはずがない。
安心しきって油断していたところを、一気に突かれた。
夫の全身を結界が包み込む。
体から生気が抜け落ちていく気配がやっと止まった。
『良かった! これで助かる! あぁ、あなた!!』
だが・・・・・・
すぐに異変は生じた。
― ピリ・・・ ―
安定していた空間に細いヒビのような亀裂が走るのを感じた。
女の胸にビクリと押し寄せる恐れ。
ヒビが大きくなるにつれて、恐れも巨大に膨れ上がった。
だが女は頭を振って恐怖を無理に押しやり、夫のための結界を張り続けた。
愛するがゆえに。
「しめ縄の一箇所がブツリと切れるのと同じ原理じゃ」
他の部分に問題は無くとも、ひとつ所が破損すればその全てに意味など無くなる。
知っていながら女が、切った。
ピリリ、ビリリと結界の裂け目が大きく裂けていく。
その部分に負荷がかかり、向こう側からのおぞましいモノの気配が漏れ出した。
裂け目に気付いた異形のモノ達が、目の色を変えて大挙して押し寄せている。
舌なめずりの音が今にも聞こえてきそうだった。
女は両耳を塞ぎ、両目を瞑り、ただ夫の無事だけを祈り続けた。
そして・・・・・・
ついに耐え切れず結界は崩壊した。
爆発のような音が轟き、不気味な鋭い閃光が四方に飛び散り世界を照らす。
惨劇の始まりの合図。
『あぁ・・・・・!!!』
咆哮と共に、世界中に異形のモノが大挙して雪崩れ込んできた。
「まさに不意打ちじゃ。思いもかけぬ総攻撃。しかも天候も最悪じゃった」
結界が張られているのだから、異形のモノなど入ってくるはずがない。
安心しきって油断していたところを、一気に突かれた。


