神様修行はじめます! 其の三

そっか。権田原もずっと、他の一族達から白い目で見られてきたんだもんね。


だからマロの心の奥底にある不穏なものを敏感に感じとったんだろう。


ふたりが一緒に来てくれて本当に良かった!


「よくやってくれた。セバスチャン」


「門川君、急ごう! さっそく始めようよ!」


「うむ、そうだな。急ごう」


言うなり彼はあたしの頭に片手を伸ばし、いきなりブチぃーっと髪の毛を引っこ抜いた!


「いでででで―――っ!?」


あたしは思わず悲鳴を上げて飛び上がる。


なにすんのよ!? いったあぁ―――い!


うわ、今、マジで痛かった! 涙目になった――!


「なにを大袈裟な。髪を一本抜かれたくらいで」


「ほんとに痛かったもん! てかその量、全然一本じゃ済まないし!」


「触媒に使うには、それなりの分量が必要なんだ。我慢したまえ」


「せめて前もって言ってよ!」


「急げと言ったのは君だろう。相変わらず平常心というものが無いな。君は」


無断で引っこ抜いたあたしの髪の毛を握り締めながら、当の本人に向かって説教すんなー!!


しかも、ものっすごく偉そうったらその態度!!


お岩さんがズキズキ痛む部分を覗き込む。


「アマンダ、そんなに騒がないでちょっと見せてごらんなさ・・・あら・・・?」


・・・・・・なに?

お岩さん! あら?ってなにー!?


なに急に言葉に詰まってんの――!?


「・・・・・なんでもありませんわ」


って言いながら、髪抜かれた部分から視線そらしてるよね!?


明らかに、見なかった事にしようとしてるよね!?


いや―! どうなってんの!? あたしの頭皮!


すっごく知りたいけれど、このまま知りたくない気もする――!