神様修行はじめます! 其の三

「永久様、破術を発動する際に、触媒があればいかがでしょうか?」


「それは当然、飛躍的に効果が倍増する。質や位置関係も関わってくるが」


「結界の向こう側に、最高の触媒を用意してございます」


・・・!?

なにそれ!? しょくばいってなに!?


いや、細かい説明はいいわ! 多分結界を破るのに効果絶大なアイテムって事でしょ!?


「その触媒って!?」

「天内のお嬢様の髪の毛でございます」

「・・・・・へ?」


ニコリといたずらっぽく微笑んでいるセバスチャンさんを、あたしはポカンと見た。


あたしの髪の毛? あたしの髪の毛がアイテムに?


「髪の毛、特におなごの髪にはの、力が宿りやすいのじゃよ」


「そうですわね。中でもアマンダは強力な神の末裔ですもの」


ヘアスタイルを整え直し、リボンもピンッと結い直したお岩さんが頷いた。


髪の末裔? 

あ、あぁ髪じゃなくて「神」ね?


なるほど、なんとな~く感覚的に分かったけど・・・。


でもいつの間にあたしの髪なんか手に入れ・・・


・・・あ、 あの時。

ここの入り口をくぐる直前に、セバスチャンさんの手が頭に当たった!


まさかあんな一瞬で!?


「天内のお嬢様の髪の毛を頂戴して、しま子に持たせ、入り口の外に残しました」


「おお――」


「結界を挟んだ中と外。恐らく最高の触媒になるかと存じます」


「おおお―――!」


そういや、しま子の手を握ってたっけ。あの時に手渡していたんだね?


しま子も妙に素直に納得してたし、多分、何かを感じ取っていたんだろうなぁ。


いやあ~、優秀な仲間がいてくれて助かったわ!


「セバスチャンさん、すごい! こうなる事を予測してたの!?」


「まさか、そこまでは。ただ胡散臭い気配はしておりましたが」