絹糸の表情やあたし達の空気から、何か不穏なものをかんじとったのだろう。
雛形は不安そうな顔でマロに話しかけた。
「当主様、何か・・・?」
「雛型よ、お前の罪は許されてはおらぬ」
「え?」
見開かれた雛型の目に大きな失望の色が浮かんだ。
唇をパクパクと動かし、やがて悲しげにガックリうな垂れる。
「許されていない? では、私の家族はどうしています? 私の、あの人は・・・?」
「もう、いない」
「・・・・・は?」
雛型が怪訝そうにマロを見上げている。
「お前が雛型となり、罪を償い続けて月日は流れ流れ・・・」
「・・・・・」
「その歳月、千年」
「千・・・?」
「お前の家族も、愛した男も、もはや骨すら残っておらぬ」
「・・・・・」
「この世でお前を知る者は、残らず消え去った。お前はただひとり、遺されたのだ」
雛形にとって、それは全てが意味不明な言葉なのだろう。
ぽかりと開いた両目と口が、理解不能だとハッキリ訴えている。
「で、も・・・罪、は・・・」
ようよう、喘ぎ混じりの声が出る。
ギクシャクと首を回し、丸く見開いた目のままで雛形はあたし達全員を見回した。
「でも、雛形になれば罪は消える、と・・・」
「犯した罪は未来永劫消えぬのだ。雛型よ」
マロの言葉に雛型がビクリと怯えた。
そして・・・あたしの胸もその言葉にズキリと痛む。
罪は・・・犯した罪は、未来永劫・・・
- キンッ! -
空気を震わす音がして、マロの手の中に小さな三角形の結界術が現れた。
驚く雛型の額にマロはその手をかざす。
「自分の目で見るがよい。門川の仕打ちを」
雛形は不安そうな顔でマロに話しかけた。
「当主様、何か・・・?」
「雛型よ、お前の罪は許されてはおらぬ」
「え?」
見開かれた雛型の目に大きな失望の色が浮かんだ。
唇をパクパクと動かし、やがて悲しげにガックリうな垂れる。
「許されていない? では、私の家族はどうしています? 私の、あの人は・・・?」
「もう、いない」
「・・・・・は?」
雛型が怪訝そうにマロを見上げている。
「お前が雛型となり、罪を償い続けて月日は流れ流れ・・・」
「・・・・・」
「その歳月、千年」
「千・・・?」
「お前の家族も、愛した男も、もはや骨すら残っておらぬ」
「・・・・・」
「この世でお前を知る者は、残らず消え去った。お前はただひとり、遺されたのだ」
雛形にとって、それは全てが意味不明な言葉なのだろう。
ぽかりと開いた両目と口が、理解不能だとハッキリ訴えている。
「で、も・・・罪、は・・・」
ようよう、喘ぎ混じりの声が出る。
ギクシャクと首を回し、丸く見開いた目のままで雛形はあたし達全員を見回した。
「でも、雛形になれば罪は消える、と・・・」
「犯した罪は未来永劫消えぬのだ。雛型よ」
マロの言葉に雛型がビクリと怯えた。
そして・・・あたしの胸もその言葉にズキリと痛む。
罪は・・・犯した罪は、未来永劫・・・
- キンッ! -
空気を震わす音がして、マロの手の中に小さな三角形の結界術が現れた。
驚く雛型の額にマロはその手をかざす。
「自分の目で見るがよい。門川の仕打ちを」


