ギクリと絹糸の体が震えるのが分かった。
マロが、明るい表情で自分を見上げる雛型に語りかける。
「雛型よ、お前の罪は・・・」
「よせ! それを言うでない当主よ!」
腕の中で身を乗り出した絹糸を見て、雛型が驚きの声を出した。
「まあ・・・あなたは門川の神獣?」
「・・・我を、知っておるのか?」
「はい。お会いするのは初めてですが」
「・・・・・」
「御子は? ご無事ですか? どのように過ごされていますか? さぞやお辛い日々でしょうね」
「・・・・・」
「惨い仕打ちを許して下さい。いつか必ず御子も自由になりましょう。その日を信じ、どうか耐えて下さい」
雛型は深々と頭を下げた。
絹糸は無言のまま、切なそうにその姿を見ている。
そして、おぉ・・・と声を振り絞り、耐えかねたように顔を逸らした。
マロが冷たい口調で話しかけた。
「絹糸殿、雛型の口からこのような慈悲深い言葉を聞き、今、何を思われるかな?」
「・・・・・」
「さぞや胸が痛んでおりましょうぞ」
ギュッと目を瞑って何も言い返さない絹糸。
あたしも門川君も岩さんもセバスチャンさんも、ただ無言のまま。
事情が分からないあたし達には、この会話の意味も分からない。
黙って成り行きを見守るしかない。
いったい絹糸は何を恐れているんだろう。
何に対して・・・こんなに恥じ入っているんだろう。
そう、絹糸は我が身を恥じている。明らかに。
これから何が起ころうとしているのか知る事もできず、刻一刻と事態は進んでいく。
なんの手も打てないままに。
その事実が皆の胸の中で焦燥感を募らせた。
マロが、明るい表情で自分を見上げる雛型に語りかける。
「雛型よ、お前の罪は・・・」
「よせ! それを言うでない当主よ!」
腕の中で身を乗り出した絹糸を見て、雛型が驚きの声を出した。
「まあ・・・あなたは門川の神獣?」
「・・・我を、知っておるのか?」
「はい。お会いするのは初めてですが」
「・・・・・」
「御子は? ご無事ですか? どのように過ごされていますか? さぞやお辛い日々でしょうね」
「・・・・・」
「惨い仕打ちを許して下さい。いつか必ず御子も自由になりましょう。その日を信じ、どうか耐えて下さい」
雛型は深々と頭を下げた。
絹糸は無言のまま、切なそうにその姿を見ている。
そして、おぉ・・・と声を振り絞り、耐えかねたように顔を逸らした。
マロが冷たい口調で話しかけた。
「絹糸殿、雛型の口からこのような慈悲深い言葉を聞き、今、何を思われるかな?」
「・・・・・」
「さぞや胸が痛んでおりましょうぞ」
ギュッと目を瞑って何も言い返さない絹糸。
あたしも門川君も岩さんもセバスチャンさんも、ただ無言のまま。
事情が分からないあたし達には、この会話の意味も分からない。
黙って成り行きを見守るしかない。
いったい絹糸は何を恐れているんだろう。
何に対して・・・こんなに恥じ入っているんだろう。
そう、絹糸は我が身を恥じている。明らかに。
これから何が起ころうとしているのか知る事もできず、刻一刻と事態は進んでいく。
なんの手も打てないままに。
その事実が皆の胸の中で焦燥感を募らせた。


