神様修行はじめます! 其の三

紙は指先から離れ、ボワッ!と青白い光を放って燃え上がる。


そしてあっという間に燃え尽きて空中で霧散した。


闇の中での一瞬の灯火が消え去る。


わずかの間、あたし達全員の目はその光に奪われて・・・


そしてすぐに、見るべきものに対して無意識に視線を移動する。

それは・・・


紙を剥がれた、雛型の素顔。


座り女の素顔。


やっぱり紙の下にはちゃんと顔があったんだ。


あたしにとって、座り女の紙の下は門川七不思議のひとつだった。


思わず状況を忘れて興味深く注目してしまう。


ついに素顔をさらけ出された雛形は・・・


若い女性だった。


ごく普通の人間の女性の、俯き加減な色白な細面。


マロみたいに化粧してるわけじゃなく、天然に白い肌。


少し低めな、でも形良くスッと伸びた鼻筋。


薄い唇。両目を静かに閉じた、これが、座り女の・・・。


顔を晒されても俯いたままで身動きひとつしない。


眠っている? それとも意識が無いんだろうか?


あたしはちょっとだけ肩から力が抜けた。


なんだ。やたらマロがもったいぶるし絹糸は悲鳴を上げるしで。


どんな惨事が起こるのかと内心ビビッたけど、別に何も起きないじゃないの。


千年も前の人間だし、やっぱりもうエネルギーみたいなものが無・・・


・・・・・っ!!


ゆっくりと

雛型の閉じていた両目が開かれていく。


― ドクン ―


あたしの心臓が不吉な予感に激しく鳴った。