「端境の当主よ・・・」
あたしの腕の中で絹糸が身動きした。
まだ少し苦しげな声で、それでも懸命に話しかけている。
「確かに千年前の事を知る者はおらぬ。だが、我がここにおる」
「・・・・・」
「千年前、何があったかを白日の下に晒そう。お前も言い分を主張するがよいわ」
絹糸が体を起こした。
そして雛型を見ながら切々と訴える。
「もう無体な真似は、よせ。せめて静かに眠らせてやれ。不当というならこの仕打ちこそが・・・不当じゃ」
「自分の足を踏んだ相手に不当呼ばわりされるは、まさに心外」
拒絶の意思を持った声が赤い唇から決然と放たれた。
「知るも知らぬも、晒すも晒さぬも、もはや過ぎた。門川の罪を決める権利は、我等が端境にあり」
「それでは千年前の門川と同じであろうが!」
「そう。やられた事をやり返すまで」
「同じ過ちを繰り返すでない!」
「それをするもせぬも・・・・・」
白塗りの顔。
瞬きもしない両目。
赤い唇が動き、闇に染められた歯が覗いた。
「全て、われらが決める事」
雛型の紙をつかんだ生白い指に力が込められる。
「・・・・・よせっ!!!」
絹糸が悲痛な声を上げた。
セバスチャンさんの手が、自身の髪を束ねた紐に素早く伸びる。
シュルッと外れた紐が一本の細長い針に変化した。
針はキラリと光り、セバスチャンさんの手から放たれ、空を切って飛ぶ。
―― キンッ! ――
結界に阻まれ、針は音を立てて虚しく床に落ちた。
あぁ・・・・・・!!
同時に、一気に雛型の顔から紙が剥ぎ取られた。
あたしの腕の中で絹糸が身動きした。
まだ少し苦しげな声で、それでも懸命に話しかけている。
「確かに千年前の事を知る者はおらぬ。だが、我がここにおる」
「・・・・・」
「千年前、何があったかを白日の下に晒そう。お前も言い分を主張するがよいわ」
絹糸が体を起こした。
そして雛型を見ながら切々と訴える。
「もう無体な真似は、よせ。せめて静かに眠らせてやれ。不当というならこの仕打ちこそが・・・不当じゃ」
「自分の足を踏んだ相手に不当呼ばわりされるは、まさに心外」
拒絶の意思を持った声が赤い唇から決然と放たれた。
「知るも知らぬも、晒すも晒さぬも、もはや過ぎた。門川の罪を決める権利は、我等が端境にあり」
「それでは千年前の門川と同じであろうが!」
「そう。やられた事をやり返すまで」
「同じ過ちを繰り返すでない!」
「それをするもせぬも・・・・・」
白塗りの顔。
瞬きもしない両目。
赤い唇が動き、闇に染められた歯が覗いた。
「全て、われらが決める事」
雛型の紙をつかんだ生白い指に力が込められる。
「・・・・・よせっ!!!」
絹糸が悲痛な声を上げた。
セバスチャンさんの手が、自身の髪を束ねた紐に素早く伸びる。
シュルッと外れた紐が一本の細長い針に変化した。
針はキラリと光り、セバスチャンさんの手から放たれ、空を切って飛ぶ。
―― キンッ! ――
結界に阻まれ、針は音を立てて虚しく床に落ちた。
あぁ・・・・・・!!
同時に、一気に雛型の顔から紙が剥ぎ取られた。


