神様修行はじめます！ 其の三

「まさか・・・」


絹糸の視線が再び雛型に移った。


恐る恐る・・・

まるで、見たくないものを直視するかのように。


「まさか、今までずっと分身を・・・？」


ホホホ・・・

乾いたような、か細い笑い声。


「さようでおじゃりまする。生き続け、生み出し続け、守り続けて・・・」


一呼吸。そのわずかな間で。


笑っていた声の質が、変わった。


「・・・償い続けておじゃりまする」


・・・・・

償う？


あたしの胸がザワリとざわついた。


ザラザラと肌触りの悪いものが、心の中を強く撫で擦る。


・・・どういう、こと？


突然、絹糸がノドから振り絞るような大声を出した。


「・・・千年！　千年もの長き間、この者は・・・！」


そして感に堪えかねたようにガックリとうな垂れる。


「おぉ、なんと・・・なんということじゃ！！」


あたし達はみんなで顔を見合わせた。


絹糸のこの様子、尋常じゃない。なにがあったの？　大丈夫？


「絹糸、どうしたんだ？　いったい何の話だ？」


「・・・なんでもない」


「そんな風には見えませんわよ」


「なんでもないと言うておろう」


「絹糸？　事情があるならあたし達に話してみ・・・」


「話す必要は無い！　千年も前のことをお前が知る必要はない！」


鋭い語気。

あたしは思わず口をつぐんでしまった。


こんな絹糸、初めてかも。やっぱり何かあったんだ。