「大切な・・・人ですか?」

「あ、これ、放送されるんだっけ」



急に誓志が目を丸くした。
意識しての言葉じゃなかったらしい。

夏帆はちょっと笑った。


「まあ、カットするよ」

「じゃ、一瞬の幻と言うことで。
 ・・・俺には、好きなヤツがいる」



今日はずいぶん、新しい君に会う日。
びっくりするようなことばかり知る日。

   
「そいつは、すっげえ頑張り屋だから、
 俺が力抜いたら絶対軽蔑する」



頑張り屋?

・・・そういう人が好きなの?
私とは正反対なのね。



   
「俺ががんばれるのは、バスケだけだ
 って知ってるから、あいつ」




あなたにそんなに大切な人がいたの?
そんなに近いところにいる人が?








・・・誰のことを言ってるの。


腹立たしいのか、それとも悲しいのか。
自分の気持ちが、全然分からない。


でも、しなきゃいけないことは分かってる。
ただ、放送部員として、誓志を撮ること。


その使命を全うするのみ。