「ありがとー、原沢ー」

「はいはい」

「マジで助かった!」

「毎度のことで・・・」

「何か言った?」

「いーえ、何でも!」




少しばかり気弱そうな原沢くんは、
口元をゆがめた。




打ち解けた様子から感じられた通り
花とは同じ中学校だという。




ちょっと面白くなって、訊いてみる。



「こーゆーの、慣れてるの?」

「え?」

「花に教科書貸すのとか」

「田川のおっちょこちょいは前からだし」

「あ、原沢ひどーい!」



花がふくれっ面になった。
原沢くんはそれを見て笑っている。





ユーモラスなところも楽しげだ。
ちょっと陰気そうだけどね。




・・・原沢くん、か。