まあ、今は試合前でそんな事を考えている場合じゃない。
……って思っているのに、西口はわざわざオレのためにお守りなんて作ってくれた。
野球ボールをかたどったフェルトに、必勝と刺しゅうされたお守り。
「本当は、千羽鶴作るつもりだったんだけど、ミニ折り紙が売り切れてて。私、あまり裁縫とか得意な方じゃないから、縫い目がガタガタなんだけど……」
なんて、言いながら差し出された物を、受け取らないはずがない。
同じ空間にいなくても、西口と同じ空の下にオレはいる。
そう自分に言い聞かせながら、オレはいつも空を見上げるんだ。
必ず夢の地へ、西口を連れて行く……。
強く強く……空に願うんだ……。