私たちはまだ、始まったばかりだ。
焦らないでいい。
少しずつでいいから、ゆっくりと2人の時間を過ごしていこう。
2人だけの思い出も作り上げていこう……。
「はー、よかったよかった。翔平が藤波さんを好きだって言った時は、マジでびっくりした」
「良かったよねー。汐音の気持ちが金子君にいっちゃったらどうしようって大輔、本当に焦ってたもんね」
くるみと上原君は2人そろってニコニコ。
今日は桃高の学園祭。
涼子ちゃんは、隣でやれやれという顔をしている。
「汐音ちゃんと涌井君はいいけど、綾美は金子と……なんて。そりゃ、綾美の言動から、もしかしたら金子に気持ちいっちゃってんじゃないかって、薄々気が付いてたけどさー」
「もういいじゃん。祝ってやれよ」
残念そうにため息をつく涼子ちゃんに、五十嵐君は苦笑した。



