「空になる必要なんかない。これからは、ちゃんと見るよ。空じゃなくて、藤波さんを」
「……うんっ!」
「あ、それとさ。コレ見つけたんだけど」
涌井君はそう言うと、立ち上がってポケットに手を入れた。
ゴソゴソとして、ポケットから何かを取り出す。
「……えっ?!うそ!そんなのもあるの?!」
「ああ。藤波さんも同じ店で買ったんじゃないの?同じ場所にあった」
涌井君が見せてくれたのは、バドミントンのシャトルのキーホルダー。
私が一度涌井君にあげた、野球ボールのキーホルダーと同じようなデザインのものだった。
「涌井君が買ったの……?」
「ああ。見てすぐに藤波さんの顔が浮かんだから」
「じゃあ、それカバンにつけてくれる?私も野球ボールのつけるから……!」
私の提案に、涌井君は笑顔でうなずいた。



