彼が私を探していたのは、綾美ちゃんと別れてしまったと報告したかったのかも。


綾美ちゃんと上手くいってるのかってこの前も聞いちゃったし。


……ああ、二重に私は失恋するのか。


涌井君の好きな人が同じ校内にいたとしたら、今度はもう無理……。




「……藤波さん」



悶々としながら、片付けの作業を進めていたら、声をかけられた。


顔を上げると、涌井君がいる。



「終わったら、話があるんだけど、いい?」


「……うん」



聞きたくない。


聞きたくないけど、聞かなくちゃいけないんだよね……?



『スマイルスマイル』



金子君の声が頭の中で響く。