「金子君……!」
「あったりー!」
振り返ると、そこには金子君がいた。
私が名前を口にすると、おどけたようにピースサインをした。
「汐音ちゃん、時間ある?ちょっと話さない?」
彼の言葉にピンときた。
きっと、綾美ちゃんの事だろう。
「……うん」
私は小さくうなずいた。
近くのコーヒーショップに入った。
やっぱり店内は涼しい。
窓側に面した席に座って、金子君が戻ってくるのを待つ。
「お待たせー。はい、汐音ちゃん。俺のおごり」
「え?でも……」
「いいっていいって。俺、部活引退してからバイト始めたから」
金子君はニコニコしながら、私の隣の席に座った。



