キミの空になりたい



返されたキーホルダーをギュッと握りしめる。



「……じゃあ、行くよ。今日まで本当にありがとな」


「……ううん」


「1人でここにいたら、多分、悪い事ばかり考えてた。でも、藤波さんがいてくれて、本当に気が楽になったんだ。感謝してもしきれない。本当にありがとう」



笑ってそんな事言わないで……。


そんな風に言ったって、涌井君はこれから綾美ちゃんの方へ行ってしまうんでしょ?


それなら、そんな嬉しい事、言って欲しくないよ……。



「……っ」


「藤波さん……?」



こらえようとしたのに、涙がこぼれてしまった。


歯を食いしばって、ガマンしていたのに、こらえきれなかった。