私は口元を手でおおった。
ぬぐった涙が再び溢れ出す。
涌井君が泣いている……。
それを見たら、こらえきれなくなった。
でも……っ!
私はギュッと目をつぶり、首をブンブンと横に振って涙を振り払った。
「そんな事ない……っ!涌井君は最高だったよ!」
そう叫んで、夢中で涌井君のYシャツをつかんだ。
「……負けたけど、私、すごくすごくカッコいいって思ったよ!涌井君の姿に感動したよ……っ!」
グッとYシャツをつかむ手に力が入る。
今、どんな言葉をかけてもなぐさめにはならない。
でも言わずにはいられなかったんだ……。
「藤波さん、ありがとう……」
「お礼なんていらないよ!むしろ、こっちこそありがとうだよ!今まで本当にありがとう、お疲れ様だよ!」



