「暑い時にも好むのかー。藤波さんって甘党なの?」
「うーん、特にそう言うわけじゃないんだけど……」
私は首をかしげながら答えた。
上原君は、涌井君ほど背は高くないけれど、座って話をしている私たちは彼を見上げる形になっている。
「あ、そうだ」
くるみはパンッと手をたたいてから、私の方を見る。
「汐音にいろいろと手伝ってもらいたい事があるんだー」
「え?何を?」
「引き受けてくれるの?!……あ、ここから先は男子禁制トークですよー」
上原君のほうを向いて、くるみが言う。
彼は苦笑すると、元の場所へと戻って行った。
くるみはそれを確認して、さっきより声のトーンを落とす。



