キミの空になりたい



「あ、そうだ!汐音、この前ミックスジュースもらったんだって?」



くるみの声で現実に引き戻される。


私は顔を上げて、ウンウンとうなずく。


あの日、先生からお礼としてもらった、ミックスジュース。


だけどグラウンドで涌井君を見た衝撃のせいか、飲む気がしなくて、家の冷蔵庫に入れたままなんだ。


誰にも飲まれないように、『汐音専用』とマジックで書いておいたけど。



「汐音、ミックスジュース好きだもんねー」


「うん。大好き」


「私は無理だなー。甘すぎて無理」


「えー?美味しいのにー」



くるみの言葉に、私は口をとがらせる。


甘すぎるなんて思った事ないけどなー。


色々な果物が入っていて、得した気分になるじゃん。