あきらめなきゃいけない、忘れなきゃいけない。


恋心は、なかった事にしなければならない……。


そんな風に頭の中で思うのに、心は止まりそうにない。


きっともう、引き返せないほど、涌井君の事が好きなんだ……。



これから、彼を想い続けるだけ、たくさん傷つくだろう。


辛い思いをして、そのたびに泣くかもしれない。



だけど、恋って理屈じゃない。


簡単にあきらめられるような想いじゃないんだ……。




「……涌井君がケガをする事なく、無事に夢を叶えられますように……」



帽子をとって、私は一礼をすると、手をあわせて、お願いをした。