ここに来るまでは、全然興味がなかった。
応援に行ったって暑いだけだし、野球のルールわからないし。
でも、練習風景を見ていたら、試合が見たくなってきた。
涌井君の別の顔をもっともっと見てみたくなったんだ。
ただのクラスメイトだったはずなのに、何でこんなにもドキドキしてしまうんだろう?
「汐音、それは何?」
「え?」
くるみに指摘されて私は、書類袋の存在に気が付く。
「あ、忘れてた!これ、田口先生にって頼まれて……っ!」
「じゃあ、私が渡そうか?それとも、自分で行く?」
「うーん……」
どうしよう?
野球部のグラウンドに制服姿で部外者が入ったら目立つし……。



