キミの空になりたい



「そうだったんだ?でも、暑いから気を付けないと」


「そ、そうだね……」



そういえば、校舎から出た時、暑いって思ったのに、暑さすら忘れていた。


それだけ涌井君の姿にひきつけられてしまったっていう事かもしれない。



「あ、涌井君ってピッチャーだったんだね」


「え?あー、知らなかった?涌井君、うちの高校のエースだよ」


「そうだったんだー」



うちの高校のエースだって。


全然知らなかったんだけど。


野球部の人と話した事ないし、マネージャーであるくるみとだって、野球部の話なんかしないし。



「すごいね。初めて見るから圧倒されちゃった……」


「だから、応援来てねって言ったでしょ?見に来る気になった?」


「うん、そうだね……」