「いやいや、私は野球部員じゃないから、私に頭下げる必要ないしっ!」
って、涼子ちゃんは慌てながら言っていたのがおかしくて、玲奈ちゃんと私は顔を見合わせて笑っちゃったくらい。
「これ、ぜひ使って!」
「え、いいの?!」
玲奈ちゃんが、青い大きなメガホンと野球部員がかぶっているものと同じ、帽子を差し出してきた。
「うん。あまってるし、早い者勝ちだよ」
「ありがとう。ほら、汐音も」
「う、うん……」
これって、すごく涌井君に近くなったような気分になる。
涌井君と同じ帽子をかぶって、堂々と応援ができる……。



