「か、梶野くん。め、眼鏡ありがと」 「あ、あー、いや」 どこか切れ味の悪い返事をする梶野くん。 しかも、あたしの眼鏡を返してくれる気はないらしい。 ずっと手に持ったままだ。 「あの……眼鏡……」 なかなか返してくれない彼にもう一度急かすと、 予想もしない言葉が帰ってきた。 「お前さ、俺とどこかで会ってねぇ?」