フン! とそっぽを向くあたしを見て、男は笑い出す。
あたしはそんな男を見て軽く腹が立ったけれど。
男の声と笑った顔に、胸の鼓動がドキドキしすぎて落ち着かない。
「野菜入りの味噌ラーメンか。俺、作り方知らないから作ってよ」
「……野菜刻んで、炒めて、麺と一緒に煮込むだけよ。あんたにでもできるわよ」
「その刻むってのが、どうもなぁ……」
男はニッとイタズラ顔で笑うとあたしの手を取った。
「言いだしっぺが作らないと意味ないだろ? さ、行くぞ」
「えっ? ちょっと、待って…」
「腹減ってんだ。ゴチャゴチャ言うなって」
男は強引にあたしをスーパーから連れ出した。
……そんなあたしたちの後ろ姿を見ていたケンジが、
「…なんだよ、アニキとできてたのか」
と、溜息ついたことなんて、知る由もなかった。
――FiN――


