「ちょっと、待ってよ!」 はぁはぁ息を切らせながら、あたしは男を呼び止めた。 振り返った男はビックリしたような顔であたしをじっと見た。 「あれ、ケンジは?」 「別れた!」 「は?」 「今日も、味噌ラーメン?」 「……まぁ、そうだけど」 「野菜はっ?」 「いや、買ってない」 あたしは野菜の入った袋を男に押し付けた。 男は勢いに呑まれて、そのまま袋を受け取ると中を覗いた。 「野菜、入れろって言ったでしょ? あんた、栄養失調になるよ?」 「……心配してんの?」 「するわけないでしょ!」