「……あんた…っ…」
ケンジに『アニキ』と呼ばれたその男は、あのムカつく男で。
たった今ケンジが話していた、味噌ラーメンを2日に分けて食べるお兄さんでもあった。
「久しぶりだなぁ。家には帰ってるのか?」
「まぁ、たまに。アニキは?」
「俺もたまにだな。……その子と知り合い?」
男の視線があたしに移る。
ケンジはぐっとあたしの肩を抱き寄せて言う。
「うん。俺の彼女」
「えっ、そうなのか!?」
男は、バターと卵を巡って醜い争いを繰り広げた女が自分の弟の彼女だと知って、ひどく驚いていた。
あたしは挨拶もできず、無言で俯いた。


