「……『幸せはこぶ味噌らーめん』? 変な名前だな」
ラーメンを手にとって、ケンジが失笑する。
そして「絶対、おいしくないって」と吐き捨てるように言って、ラーメンを乱暴に棚に戻した。
「……おいしかったよ」
ケンジが戻したラーメンは今にも棚から落ちそうになっていて、あたしはきちんと棚に戻しながらぽつりと呟く。
「えっ? 食べたの?」
「うん。バター入れるとおいしいんだ」
「へぇ。そういや俺のアニキ、味噌ラーメンを2日に分けて食べるんだぜ? 1日目は麺だけ。2日目は残ったスープに飯入れて雑炊」
「えっ?」
ケンジのお兄さんと、あの男がダブる。
この世の中、いろんな人間が山ほどいる。
あたしとあの男のように、味噌ラーメンを2日に分けて食べる人間なんて他にもいるはずなのに。


