「いえ、あたしが買います」
あたしは男からパックを奪うと、そのままレジへと走った。
男はそんなあたしを追いかけてくる。
「おい、ちょっと待てって!」
「……これ、お願いします!」
あたしは男のことなど全く無視して、レジで支払いを終えた。
グチャグチャになった卵が入ったスーパーの袋を手にするあたしの前に、男が立つ。
「割り勘ってことにしよう」
「………」
男はあたしから袋を取り上げると、割れていない6個の卵を3個ずつ分けた。
そして、サイフから50円出してあたしに手渡す。
「これで解決だ」
手にした3個の卵と、50円玉。
解決だと言った男の言葉。
ムカつくはずの相手なのに、なんだか妙に寂しい。


