【恋愛短編】味噌らーめん



そんな言い合いをしているあたしたちは、すぐ後ろに立つ人影にハッとして、同時に振り返った。


そこには、スーパーの制服を着た若い男性店員が顔を引きつらせて立っていた。

男性店員の目は、パックから滴り落ちる割れた卵の白身と黄身に釘付けになっている。



「……お客さん……」



怒りに満ちた震える声に、あたしたちは真っ青になる。



「は、ははっ。買いますよ、もちろん!」



ムカつく男がそう言って、あたしからパックをすっと取り上げる。



卵を割ってしまった。

あたしも悪い。

本来なら割れた卵が入っているのに値段はそのままで買わないといけない。

でも、こいつが買うって言ってるんだし……。

卵なんて、これから別のスーパーに走ればいいんだし……。




――……そう、思ったはずなのに。