なんとなく、近いうちに宇名観が変化しそうな気がする・・・。

いちこはそんな予感がしていた。

いちこだけではなく、胡紗々や退治屋のメンバーも感じてるようであった。


「みんな特異体質だったのかな?
ううん、違う。そりゃ、陰陽師っぽい人と妖術使いな人はいるけれど、基本はみんな普通の人間よね。

この私だって、リズを呼び出さなければ普通の・・・女子高生なわけで。
あれ?そういえば・・・リズって文句をいいながら出てこない???

呼び出すのを忘れているときって必ず、胸がムズムズしたり痛かったりして・・・あれ?
反応がないんじゃ?・・・うそっ!私ここんとこ気にもとめてなかった!

まさか、消滅したとか、つぶれちゃったとか・・・じゃないよね。うそっ、あっ大変!
呼び出さなきゃ!
リズ、出てきて。」


結界とか時空神に振り回されている間、うっかり自分の中のリズナータ(七杜の一部)のことを忘れてしまっていたためいちこは大慌てで、今のリズがどうしているのか心配になった。


ボワ~~~~~ン!


「スゥスゥ・・・・スゥス~~~~~ぴ~~~~」


「リズ?眠っているの・・・?」


一見横になった状態で眠っているようなリズナータだったが、つついたり、つねったりしても起きる気配がない。


「リズ!起きてよ。リズ、どうしたの?起きて!!
ねえ、目をあけてよ。どうして?・・・どうして寝息はしているのに起きようとしないの?」


いちこが泣き叫んでいると、静歌が綱樹と走ってきて叫んだ。


「そろそろここではさよならですっ!
世界が元に戻ろうとしています。

退治屋全員で送り出したかったですが、どうやらそれはかなえられない。
代表して、私が挨拶しておきます。
君がきてくれて本当によかった。楽しかったです。気を付けて!」



「えっ・・・どういうことですか?」



「もう時間がない、説明している時間がないですが、どこかで理由がわかると思います。
いちこクン、記憶のあるなしにかかわらず、あなたの世界にもどって知ってる人物がいたらはじめましてから接してあげてください。

それがここでの最後の私の知っている情報です。」


「で、でも・・・このまま飛んで行ってしまったら、リズが・・・七杜さんが!
七杜さんはここじゃ消えちゃう!
どうしたらいいの?どうしたら・・・やだっ、七杜さんと会いたい。

消えちゃやだ!七杜さんが居てくれないと・・・私は、私は・・・やだ、離れたくないっ!」


そう叫んだいちこは眠っているリズに覆いかぶさるようにして抱き着いて泣いていた。


遠くに綱樹の声が聞こえる・・・


『愛を重ね、改心と自己犠牲の心が幸福を生む。

愛情少なき時は、他色の書物が邪悪な源となりこの世の終わりを告げる。

すべては主と強者の運命。

強者が強者でなくなりし時、その命を主は飲み干せ。

それが旅の終わり。』



胡紗々の声がとぎれとぎれに・・・別れの言葉にいちこに感じた。


「いちこクン・・・七杜の手をしっかりつかんでいて。
七杜のこと頼みますよ。幸せになってください。」


そして、目の前が真っ白に光って・・・・・。