いちこに噛みつかれそうな勢いで訊かれた天使リズは、重い口調で答えはじめた。
「神様が罪を犯した。
本来、神は絶対なものだから、罪とは言わないのかもしれないが、俺は下っ端だし魔族出身だから言葉が悪いんだろうが、いちばん偉いお方って位置の神様がな、時空神を消してしまったんだ。」
「なんですって!消したって・・・!」
「ああ、殺したってこと。それで後任の時空神を選んだようなんだが、人間でいうところの新米クンなのでな・・・師匠になるヤツもいない状況ではなかなかうまくもいかなくてな。
世界間どうし、妙な摩擦だとか、暴風とか起こって結界が壊れていった。
その原因のせいで、俺が天使になったというおかしなことにもなったんだがな。
いちこが今いる世界では魔物が狂暴化したり、上級の魔族まで現れる始末だろ。
だから、俺は魔の体を焼き尽くされてしまった。
そして・・・おまえの好きな男もおまえを守りたくて器を放り出したんだったな。」
「器?・・・あ、七杜さんの体のことね。そうよ。私はあなたと意識の中で会話してそのあと退治屋さんにもどったと感じたときには七杜さんは動かなくなってた。
まさか、私の心臓のところの穴になったところがふさがったなんて思わなかった。」
「いい男に好かれて良かったな。
俺はいちこが心配だった。
俺が壊れてしまって、おまえはずっと闇の中に閉じ込められてしまうんじゃないかって心配で、上役にかみついたんだけどな・・・生き物がどうなるかってことは下っ端にはどうにもできないとばかり言われてしまった。
で・・・時空のゆがみだけどな、俺がいえるのは人間の時間にすればあとどのくらいかはわからないが、時空神が自分の仕事に慣れてさえくれば自然と元通りになるときいている。」
「元通りってことは、私は元の世界へもどるってこと?」
「そうだな。おまえの親のところへ戻れる。
そして、おまえの中に穴はもうできない。
異世界の仲間はどうなるかはわからない。
いちこの世界にも存在するのかしないのか?
いたとして、おまえといっしょにいた時間を覚えているかいないかも不明。」
「じゃ、七杜さんはどうなっちゃうの?消えて終わりなの?」
「ん~~~たぶん・・・そいつの意思が強ければ、おまえとどこかで接点があるはず。
ただ・・・記憶はあるかどうか・・・そこまではわからない。
おまえのことを覚えていないかもしれない。
だから・・・その・・・ごめん・・・。力になれなくて。」
「あ、そんな顔しないで。
こうやって説明してくれて、感謝してるんだから、十分だって。ほんとよ。
長い年月を苦しみながら生きてきたんでしょう。
今も下っ端からがんばってるんでしょう?
忙しいのに、私の言葉をきいてくれてありがとね。
離れても、リズのことは忘れないよ。」
「いちこ・・・。おまえだけは幸せになれるように、あっちこっちにお願いしてまわるつもりだ。
それとな、俺はもうリズナータではなくて、天使フーイと言われている。
たぶん、これでおまえが生きている間には会うことがないと思うけど、おまえの血筋は追っていたいと思う。
がんばって。元気で暮らせよ。
ちょっとの辛抱と、次元振動を感じたら、飛び込む勇気を出せよ。
それと・・・これがつらいだろうけど、別れを惜しむなよ。」
「うん、忠告ありがと。私は異世界で存在していてはダメな人間なんだもの。
元の世界で存在しなきゃだよね。
早い目のお別れと覚悟はできるように努力するね。
リズ・・・じゃなくてフーイもがんばってね。きてくれてありがとう。」
天使フーイは小さく頷いてパッと姿を消した。
すると、いちこの胸がキュッとしめつけられる痛みが走った。
「七杜さん!?」
「神様が罪を犯した。
本来、神は絶対なものだから、罪とは言わないのかもしれないが、俺は下っ端だし魔族出身だから言葉が悪いんだろうが、いちばん偉いお方って位置の神様がな、時空神を消してしまったんだ。」
「なんですって!消したって・・・!」
「ああ、殺したってこと。それで後任の時空神を選んだようなんだが、人間でいうところの新米クンなのでな・・・師匠になるヤツもいない状況ではなかなかうまくもいかなくてな。
世界間どうし、妙な摩擦だとか、暴風とか起こって結界が壊れていった。
その原因のせいで、俺が天使になったというおかしなことにもなったんだがな。
いちこが今いる世界では魔物が狂暴化したり、上級の魔族まで現れる始末だろ。
だから、俺は魔の体を焼き尽くされてしまった。
そして・・・おまえの好きな男もおまえを守りたくて器を放り出したんだったな。」
「器?・・・あ、七杜さんの体のことね。そうよ。私はあなたと意識の中で会話してそのあと退治屋さんにもどったと感じたときには七杜さんは動かなくなってた。
まさか、私の心臓のところの穴になったところがふさがったなんて思わなかった。」
「いい男に好かれて良かったな。
俺はいちこが心配だった。
俺が壊れてしまって、おまえはずっと闇の中に閉じ込められてしまうんじゃないかって心配で、上役にかみついたんだけどな・・・生き物がどうなるかってことは下っ端にはどうにもできないとばかり言われてしまった。
で・・・時空のゆがみだけどな、俺がいえるのは人間の時間にすればあとどのくらいかはわからないが、時空神が自分の仕事に慣れてさえくれば自然と元通りになるときいている。」
「元通りってことは、私は元の世界へもどるってこと?」
「そうだな。おまえの親のところへ戻れる。
そして、おまえの中に穴はもうできない。
異世界の仲間はどうなるかはわからない。
いちこの世界にも存在するのかしないのか?
いたとして、おまえといっしょにいた時間を覚えているかいないかも不明。」
「じゃ、七杜さんはどうなっちゃうの?消えて終わりなの?」
「ん~~~たぶん・・・そいつの意思が強ければ、おまえとどこかで接点があるはず。
ただ・・・記憶はあるかどうか・・・そこまではわからない。
おまえのことを覚えていないかもしれない。
だから・・・その・・・ごめん・・・。力になれなくて。」
「あ、そんな顔しないで。
こうやって説明してくれて、感謝してるんだから、十分だって。ほんとよ。
長い年月を苦しみながら生きてきたんでしょう。
今も下っ端からがんばってるんでしょう?
忙しいのに、私の言葉をきいてくれてありがとね。
離れても、リズのことは忘れないよ。」
「いちこ・・・。おまえだけは幸せになれるように、あっちこっちにお願いしてまわるつもりだ。
それとな、俺はもうリズナータではなくて、天使フーイと言われている。
たぶん、これでおまえが生きている間には会うことがないと思うけど、おまえの血筋は追っていたいと思う。
がんばって。元気で暮らせよ。
ちょっとの辛抱と、次元振動を感じたら、飛び込む勇気を出せよ。
それと・・・これがつらいだろうけど、別れを惜しむなよ。」
「うん、忠告ありがと。私は異世界で存在していてはダメな人間なんだもの。
元の世界で存在しなきゃだよね。
早い目のお別れと覚悟はできるように努力するね。
リズ・・・じゃなくてフーイもがんばってね。きてくれてありがとう。」
天使フーイは小さく頷いてパッと姿を消した。
すると、いちこの胸がキュッとしめつけられる痛みが走った。
「七杜さん!?」

