リズナータにそういわれて、いちこはクッと息を止めた。

すると、いちこは空高く放り投げられ、聖智たちの術で救出に成功した。

その後、簡易結界の中で高温蒸し焼きになった魔物は祐希や高千がトドメをさして退治された。


朔良はいちこに駆け寄って、怪我の具合を確かめたが思わず叫び声をあげる。


「いちこ、いちこぉーーーー!目を覚ますんだ!
くそっ、外傷はほとんどないのに、意識がない。

何を調合すればいいんだ。どうして・・・生気が感じられないんだ。」


「朔良、どうした?
いちこが溺れたときと同じように薬をやったら・・・」


七杜が朔良にそう話しかけると朔良が首を振ってうなだれた。


「あのときとは違うのよ。口移しも反応がないほど生気がないの。
死んでるとしかいえないの。

うそ・・・でしょう。でも・・・足は温かいし、わけわかんない。
こんなのどうすればいい?
私は何を調合すればいいの?

いちこっ!いちこを守るって言ったのよ、守りたいのよ。
なのに・・・うわぁーーーーー!」


「落ち着けっ、バカヤローーーーーー!!」


バシッ!!

七杜は朔良の頬を力いっぱいひっぱたいた。


「足が温けえのなら、何か手があるってことだろ。
死んじゃいないんだ。

リズが結界内で消滅したのが原因なら、調べてみなきゃならないだろうが。
いつも冷静なおまえがうろたえてどうするよ!」


七杜の言葉に朔良はハァ・・・とため息を何度かついた。


他の退治屋のメンバーも倒れているいちこを前に、ただ黙って見ている他にない状況だったが、しばらくして、祐希が青い本とともに青く輝きだした。


「俺は・・・俺は何者なんだ・・・!?
どうして本と俺は光るんだ!まさか・・・」


青い光はどんどん輝きを増し、光にのまれた祐希もろともパッとその場から消えてしまった。


「祐希!!!!」


「祐希がいなくなった?」


「くそっ、退治屋は・・・いちこもどうすりゃいいんだよ!」


七杜の悔し涙と言葉が地面にたたきつけられた。