いちこが朔良に連れて行かれたのは町のエステサロン。

一見普通のエステサロンで、使用される美容液なども天然素材で・・・これもよくある宣伝文句なのだが、1つだけ普通でないのは朔良オリジナルの毒も使用されている点であった。


「エステで毒って、大丈夫なんですかぁ?」


「毒って言ってしまえば悪いモノに思えるけれど、私の毒はほとんどは天然素材100%なのよ。

使い道を間違えれば毒は毒。
でも、うまく使えば最高品質のエッセンスとなるの。
死にはしないから、受けてみなさい。」


「わ、わかりました・・・なんだか怖いけど。」


その後2時間たって終わってみると、いちこの肌が見違えるほどつるつるになって光り輝くほどだった。


「すごい、効果ですよ。
うわぁ・・・朔良さんの毒ってすばらしいです。
エステのアドバイザーもやっておられたなんて・・・すごいです。」


「じゃ、そろそろお仕事の本番と行きましょう。」


「お仕事?」


「そう。これから静歌と合流して瞑想の滝へ向かうの。
瞑想の滝って神や御仏に仕える人たちの修行の場で有名なところなんだけど、最近、そこに色好みの魔物が住みついちゃったの。」


「色好みの魔物ですか?
なんかエッチな意味合いですか?」


「ええ。見た目もいちこの体の中にいるヤツと似たり寄ったりって感じのだから、あなたの協力がいるのよ。」


「そうなんですか。・・・って私がエステできれいになったのって・・・もしかして・・・わ、私は・・・そのイヤラシイ魔物へのエサとか?」


「うふふ、理解の速い女の子ってステキよ。」


「わ、私帰らせていただきま・・・」


「だめ!あんたがいないとできない仕事なんだから。
それに、あんた私があんたを見殺しにすると思ってない?

私たちだって退治できる実力があるからここに来てるの。
プロとしてやっているんだから、バカにしないでくれる?」


「バカになんてしてませんよ。
だけど・・・殺されはしなくても、手遅れだったら・・・。
私は魔物の子どもを宿しちゃうかもしれないじゃない。」


「まぁ今だって悪魔を宿してるみたいなもんじゃない。」


「朔良さん、ひどいですっ!」



瞑想の滝で静歌と合流し、早速魔物を呼び出すことにした。

朔良は特製品と称する毒を瞑想の滝に溶かし始めた。


「そんなことをやって、お魚とか滝の生き物は大丈夫なんですか?」


「エステでわかったんじゃなかったの?
私の作る毒ってのはね~!」


「はい、天然素材100%でございますっ!」


「そう。魔物以外には無害なの。」

毒を溶かしてから10分後・・・


水面が銀に光り輝くと、いちこ目がけてその魔物は飛び掛かってきた。


「きゃああああ!!!」


「ワシと行くのだぁーーー!イヒヒヒ・・・いい女だな。ヒヒヒ」


「静歌、次いくわよ!」


「はいっ、詠います!」


静歌が祝詞のような言葉をずっと連ねている間に、朔良が銀の粉末を魔物に投げつけた。


魔物の体中が銀色に染まり、次の瞬間、いちこに触れようとした魔物の手が溶けだした。

「うぉぉぉぉおおおお。ぐ・・・ぐぉおおお」


いちこは魔物が溶け始めてその場で座りこんでしまおうとしたときだった。
魔物は最後の力をふりしぼるかのように、長いしっぽをいちこにぶつけ、滝の中へといちこをはたき落した。


ドボーーーーーン!!


いちこは、一度は水面に顔を出したが、しばらくして喉を押さえて沈んでしまった。


「いちこっ!!!」