蒜名は力を緩め、いちこから離れると口を開いた。

「あいつらの様子が以前と違う理由がなんとなくわかったよ。
けど、おまえは退治屋に居る限り仲間だし、俺は無意識でもおまえといれば必ずおまえを守る。
思うのは勝手なのだからな。」


いちこはぺこりと蒜名に頭を下げ、走って退治屋にもどっていった。


事務所にもどるとすぐに朔良に呼び止められた。


「中崎道場の件は無事終わったようね。」


「ええ。・・・あ、蒜名さんはもうすぐもどってきますから。
道場の皆さんに歓迎されて全員と手合せしたりしてお疲れだと思います。」


「はぁん?誰もそんなことは聞いていないのだけど・・・。」


「へっ!!!」


「ふふふ、いちこはほんとかわいい。
七杜を骨抜きにしちゃうくらい魅力的なんだものねぇ・・・。」


「なっ、わ、私はそんなこと・・・。
魅力的なのは朔良さんの方がずっと色っぽいじゃないですか。
・・・・・男なのに。」


「あははは。そうね、そんなあたりまえなことはどうでもいいの。
これから仕事だからついていらっしゃいな。」



「えっ?朔良さんが外で仕事するんですか?」


「あんたね・・・私が事務のオバサンだとでも思ってたの?」


「いえ、だから事務のきれいなオジサマだと・・・。
きゃっ!な、何するんですか、ネコじゃないんですから首根っこひっぱっていかないでください!」


「泥棒ネコなんじゃないの?
蒜名が寮の方へ行く姿が見えたわ。

彼もたぶらかしたわね・・・。」


「そ、そんなこと・・・。私は消えちゃうからって言っただけですよ。
どうしてこんなに怒られないといけないんですか。
私は驚いているんです。
あっちの世界では男性に興味なんてもってもらったことなんてなかったのに、こっちの世界ではおかしすぎますよ。

私なんて美人じゃないもの・・・。子どもっぽいし。」


「だから・・・美人になってもらいに行くのよ!」


「えっ!?ええ???」