「そうだ。シャンパンでも飲むかい?」


「じゃあ遠慮なく」


「買っておいて良かったよ。簡単なおつまみも持ってくるから、そこのソファで座って待ってて」


「はい」


彼は私を残してキッチンへ向かった。


私はすぐに部屋の中を探索し始める。

それが目的だからだ。



ざっと周りを見てもめぼしいものはない。


「あの棚…」


少しだけ半開きになっている棚に近づき、扉を開けてみる。


中には男性三人組の写真がポツンと一枚だけ入っていた。


右から順番に見ていく。


それは私が復讐するべき四人の中の実行犯だった。


それも若い頃。


誠さんは今よりもチャラく感じる。


見た目で言うと16か17くらいだろうか。

やはり一人目の人も今回の二人目の誠さんも人を殺して金を奪うようには見えない。


今になって傍にいてもそんな風には感じもしないから不思議だ。



「お待たせ」


彼の声が聞こえ、私はあわてて写真を棚に戻した。

「生ハムとレアチーズ。じゃがいものベーコン巻き。こんなものでいいかな」


「はい!」


「残念なことに本当料理はできなくてね。買ってきたものか、簡単なものしかできないんだよ」


「じゃあ今度私栄養満点の料理作りますね!」


「ありがとう。楽しみだよ。さぁ、そんなとこにいないでこっちにおいで」



優しい声で私を呼ぶ。

私は笑顔で彼に近づいた。