「休職のカードをいただきましたので、ご挨拶をと思い電話しました」 「そう。 ありがとう」 物言いが貴族そのものだった。 慇懃だ。 「先日はお忙しいところ、わざわざお越し頂きありがとうございました」 彼女がちょっと黙った。 「いいえ」 少し声が弱弱しくなった気がした。 「社長命令でしたので」 声が戻った。 「もうお会いすることも無いですが、どうぞお元気で」 断定か。 涼は電話が切られそうになっているのに言葉を慌てて挟んだ。 「NYに行く予定があります」 予定は作る。