「なぜ、彼女は調印に来たのかな」 カードのサインを見下ろす。 「女王命令ですから」 「は?」 涼は成介を見上げた。 「さやか・ダバリードの命令ですよ。 来たくなかったそうですけどね」 「ああ。 ああ、そうか」 会いたくなかったのか。 身動きした。 「そうか」 ああ、落ち着かない。 成介が出て行った。 今なら電話をかける理由ときっかけがある。 でも休職に入ってしまったら。 涼は電話を手に取った。