「終わりましたか? どうです。 食事でもして帰りませんか」 成介の誘いは珍しかった。 「ああ、そうだな」 携帯が震える。 「悪いが、無しだ。 春香が来ている」 成介はほころんだ涼の顔をちらりとみた。 「そうですか。 お疲れ様でした」 涼は上着を取るとロビーへと降りた。 春香の姿にほっとする。 悪夢から目が覚めたような気分だ。