「そう。
いいよ、提供するけど」
たぶん、驚愕の顔をしていたのだろう。
涼が笑っている。
「ただ上手く行って無事に生まれても、成介の所みたいに両親が面倒を見てくれるわけではない。
俺が夜帰ってきても面倒を見れるわけでもない。
結局、24時間365日、ベビーシッターが育てることになる」
「ああ、そうだな」
「それって、子供にとってどうなんだろうな」
綺樹は口をつぐんで窓の外を見た。
「どうだろうね。
ただ成介は絶対、おまえに跡継ぎを作らせようとしている。
おまえがお見合いをするか、どっかに子供を作れば、こんな方法を取らずに済むんじゃない?」
綺樹は投げやりに答えて、立てた膝に肘をついて頭を支えた。
涼から顔が見えなくなる。
「単なる道具として子どもを製造しなくても済む」
綺樹も子どもの心情を思うと胸は痛かった。
でも涼が、自分との遺伝上の子供が欲しいというなら。
最後のせめての繋がりだった。
卵子を提供するとなると、どのみち今日は死ねなくなったな。

