「いいな。
やっぱり最後の晩餐は、おまえの作ったもので正解だ」
涼は思わず手を止めて、探るように綺樹の顔を見た。
綺樹は唐突に快活になった。
きらきらとした目になり、冗談とも本気ともつかないからかいを投げてくる。
反対に涼は段々と寡黙になっていった。
いつものひやりとした不安が背中に張り付き、重さを増していく。
これから話すことで、この不安は拭われるのだろうか。
「ああ、おいしかった」
綺樹は満足そうな顔で箸を置いた。
「やっぱり、お前が作る料理はうまいな」
にっこりと笑う。
「だろう?
どうあがいたって、おまえは逃れられない。
さ、コーヒーを淹れる。
甘いものでも探しに行くか」
どういう意図での発言なのか、聞くタイミングを逃した。

