ちゃんと死なずに、いつ発作が起きて死ぬのかわからない、綱渡り状態。
恋愛だって、だらだらと他の男に逃げたりして、きちんと終わらせられない。
仕事はクビで、勉強は休学状態。
どうすればいいんだ。
「あの時、戻らなければ良かった」
綺樹は肘を突き、額を支えて床のタイルを見つめて呟いた。
どうせ産めなかったのなら。
そうしたら少なくとも涼との関係は一応、まとまりのある形で終わっていたのに。
ダバリードの仕事も休職で、麻薬のために退職なんていう泥は塗らなかった。
涼は無言で手を動かしていた。
下手な言葉は挟まないほうがいい。
魚の焼ける匂いが漂いだす。
最後の晩餐。
さっき自分が思った言葉を思い出した。
そうだ。
涼がさやかに保護者の立場を終わったと宣言したのなら、行きずりの男を見つけるのはNYに戻ってからじゃなくてもいい。

