でも彼女は全く涼を知らない者の様な態度だ。
ふっと彼女が眉をひそめせたのに、自分が食い入るように見ているのに気づかれたかと、涼はあわてて視線を外した。
契約書を立ててこちらには見えないようにし、小声の英語で担当者に確認している。
説明を受けても府に落ちないようだった。
担当者が説明を足している。
綺樹が真実を探るようにじっと担当者を見つめていた。
担当者が落ち着かない様子で、しどろもどろになった。
綺樹はため息をつくと、失礼と言って携帯を手に部屋の隅に寄った。
フロアライトの側だったから、栗毛が金髪のようにきらめく。
日本人にはない髪の毛の細さとしなやかさだ。

