The side of Paradise ”最後に奪う者”


「クリスマスカードとか。
 一切、いらない。
 送ってこなくていい」


涼はインゲンをテーブルから掬い上げると、沸騰している鍋に入れた。


「メールも。
 葉山ではメールと電話はということにしたけど。
 やっぱり止めよう。
 メールと電話も無しにしよう。
 どこかのパーティで出くわしたら、挨拶をする位がちょうどいいな」

「おいおい」


涼がちゃんと聞きいれていない様子に、綺樹は口をつぐんだ。

どうしたら約束してもらえるのか。

この様子だと平気でボストンに顔を出しそうだ。

出張のついでに寄ったとか言って。

やがて子供の写真、とか言って見せられるのだろうか。

私だって、もう関わりたくない。


「涼。
 約束してよ」


綺樹は背筋を伸ばし、強くぶつけるように言った。

綺樹にしては聞いたことの無い言い方だった。

涼は手を止めて顔を向けた。